2015年01月11日 5:29 PM
年末は注連縄に関する「注連縄の向きは?どっち向きに飾るの?」という質問を多数いただきますのでそれに関して。
注連縄というのは神域(常世)と現世(俗世)を隔てる結界の役割を担っています。御霊代、依り代として神様が宿る印として、神体を縄で囲いその中を神域としたり、厄を払ったりする意味があります。
お正月には新しい年神様を迎える準備として、自分の家が年神様を迎えるのにふさわしい神聖な場所であることを示すために注連縄を飾ります。年神様とは毎年正月に各家にやってくる来方神であったり、「年」は稲の実りのことであり、その年の豊作を祈り穀物・農耕神を迎えることであったり、その家を守ってくれる祖先の霊として考えられたりと、地域によって若干違いますが厄才を払い、実りの多い年にしてくれる神様という解釈でいいと思います。
ではその神様を迎えるためのしめ縄の向きですが、じつはどちら向きに飾っても間違いではありません。しかしながら一般的な回答として「神棚に向かって右が太いほうになります」とお答えして以下の説明をかいつまんでお話しするようにしています。注連縄の作り方では、綯いはじめが太いほうですのでこちら側が「元」になります。神道での左右の扱いは神様から見て左が上位になります。ですので神様から見て左、我々から向かって右に「元」がくるように飾ります。一般的にはこれでまず間違いはありません。
では逆ではダメなのか?というと、地域や職業によっては逆に飾られる場合が多々あります。向かって右を太く飾る形を「入り船」、逆を「出船」と呼びますが、私のように商人ではお客さんにたくさん来てほしいので入り船。表に出て稼いでくるお勤めの方なら出船、という具合に向きを考えるそうです。また夜のお仕事では出船の飾り方が多いようです。
また「入船」と「出船」という言葉のもとは玄関と神棚の関係という説もあり、玄関の方を太いほうが向いていれば入船、逆なら出船と考えるそうです。そのうえで前述のように意味合いを考えて向きを決めるということでしょう。
また神社の話になると、出雲大社は左右逆という話が有名で、大国主の怨霊を表に出さないために我々側から見た結界だから向きが逆、という説が一般的です(私はちょっと違う見解をもってますが)出雲大社だけではなく島根県では左右逆の飾り方が一般的と言いますし、他にも左右逆の飾り方をする神社はたくさんあります。いわゆる国津神系の神様の神社に多いということなのです。天津系の神様と国津系の神様、記紀に記された日本創世記の話になると諸説色々と長くなるのでそれは機会があればいずれまた。
最初のお答えに戻りますが、いろいろご事情があり、かつそれをご理解の上、出船で飾られるのであればそれは正しい飾り方ですので、要はご自分がどちらで飾る、ということを意識して飾られればそれで正解なのです。これは門松の内高、外高の話と同じです。
蛇足として、注連縄の綯い方にも左綯えと右綯えの2通りがあります。ほとんどは左綯えですが、この左は太陽の巡行方向ということで「火」をイメージし、そこから男性を指します。右綯えは太陽の巡行方向の逆で、「水」をイメージし、女性を指しています。祀る神様に男女のイメージや概念が付加されている場合などは、この左綯えと右綯え、男女を使い分けるそうです。
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